[東京 28日 ロイター] - 今週の東京株式市場は上値の重い展開が想定されている。直近では4月の米利上げの可能性を示唆する米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派的な発言が相次いでいる。国内では財政出動や消費増税先送りへの期待が日本株の下支え要因となっているが、米経済指標が強い内容となり、利上げ時期が接近したとの受け止めが広がれば、リスク回避ムードが再燃する恐れがある。
日経平均の予想レンジは1万6400円─1万7300円。
今週は28日が3月期末の権利付最終日。市場が推計する配当落ち分は130円弱という。新年度を前に、日経平均は1万7000円近辺での値動きを続け、日足のチャート上では三角もち合いを形成している。上下どちらに放れるのか、相場の分岐点が迫りつつある感もある。
国内では消費増税先送りの思惑などが広がりつつあるが「上値を追う材料というより下支え要因。国内の材料で日本株が上昇するシナリオはまだ描きにくい」(国内証券)との声が聞かれる。
米国市場はVIX指数 .VIX が30ポイントを一時的に超えた2月中旬から足元では14ポイント台まで低下。落ち着きを取り戻しつつあるようにみえるものの、ドル高や原油安が進行すれば米国株に下押し圧力が強まる構図は変わらない。今週は日本時間の28日夜に米2月PCEコア・デフレータが発表される。市場予想を上回る内容となれば、早期の米利上げ観測が強まる可能性がある。
三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「強い数字が出た場合はドル高の反応が見込まれるが、新興国経済への不安から商品市況が下落し米国株が崩れれば日本株にも影響が出る。今の地合いであればリスクオフに傾斜しやすい」と指摘。半面、予想に満たなければ「ドル安/円高が見込まれるが、リスクオフの後退の流れのなかでもあり、為替の動きはそれほど大きな力は持たないだろう」とし、投資家の心理面にはプラスとなるとみる。
とはいえ円高が進めば、来期の国内企業業績に対する悲観的な見方を強める形となりやすい。国内で29日に2月全世帯消費支出、30日に2月鉱工業生産速報が公表される予定。さらに週末の1日には国内で日銀短観、中国では3月製造業PMI、米国では3月雇用統計とISM製造業景況指数など、国内外の重要経済指標の発表が集中している。週を通じて神経質な相場が続きそうだ。
(株式マーケットチーム※)