スプリント「事業苦戦」と強調、Tモバイルとの合併巡る訴訟審理開始

Reuters

発行済 2019年12月10日 09:42

スプリント「事業苦戦」と強調、Tモバイルとの合併巡る訴訟審理開始

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米国で複数の州が携帯電話大手TモバイルUS (O:TMUS)と同業スプリント (N:S)の合併阻止を求めて起こした訴訟の審理が9日、ニューヨーク州のマンハッタン連邦地方裁判所で始まった。

この日はスプリントの幹部らが証言。ネットワークの質改善に苦戦し、成長が阻害されているとしてTモバイルとの合併の必要性を強調した。

ニューヨーク州とカリフォルニア州が主導する同訴訟で、司法長官らは両社の合併がとりわけプリペイドプランの価格上昇につながるとして、合併計画の撤回を求めている。

スプリントのロジャー・ソール最高マーケティング責任者(CMO)は、同社の顧客取り込み戦略には値下げが含まれていると説明。ただ、スプリントのネットワーク環境の悪さから販売促進策の「初期の成功はすぐに消えていった」と述べた。

一方、原告側は、スプリントが2016年にベライゾン、AT&T、Tモバイルの携帯電話プランに匹敵するプランを提供する積極的な販売奨励策を導入した際に、Tモバイルのプリペイドブランドが迅速な値下げに動いた証拠を提出。競争が値下げにつながると訴え、スプリントとTモバイルがそれぞれ単独会社として存在することが各社の競争を促し、顧客にとって最善のサービスを提供することになると指摘した。

原告の弁護団は、スプリントが合併によって1ユーザー当たりの平均売上高(ARPU)の増加を見込んでいたことを示す証拠も提出した。

それによると、ソール氏は2017年に当時の最高経営責任者(CEO)、マルセロ・クロウレ氏とのワッツアップのメッセージのやり取りで、Tモバイルとの合併でスプリントのARPUは5ドル増加する可能性があると述べている。