アップル10-12月期、iPhone販売回復で堅調 新型肺炎の影響懸念

Reuters

発行済 2020年01月29日 14:39

アップル10-12月期、iPhone販売回復で堅調 新型肺炎の影響懸念

[28日 ロイター] - 米アップル (O:AAPL)の第1・四半期(10─12月)決算は、売上高と利益が市場予想を上回った。「iPhone」の売上が約1年ぶりに増加したほか、「AirPods」など周辺機器の需要も堅調だった。時間外取引で株価は2%上昇した。

しかし、同社の主要市場で生産拠点でもある中国で新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、事業への影響が懸念されている。

また、注目度が高い、動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」を含めたサービス部門の売上高は予想を若干下回った。

ただ、全体としては好調な決算となり、第2・四半期についても、アナリスト予想を上回る売上高の見通しを示した。

第1・四半期の売上高は918億ドルと、リフィニティブがまとめたアナリスト予想885億ドルを上回った。

1株当たり利益は4.99ドルで、アナリスト予想の4.55ドルを上回った。

第2・四半期(1─3月)については、売上高が630億─670億ドルと予想。市場予想の624億ドルを上回ると見込んだ。

<新型ウイルスの影響>

ティム・クック最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、新型ウイルスに伴う不確実性のために業績予想は通常よりも広範なレンジを用いたと説明。

「新型ウイルスの流行を受け、先週時点で社員の出張をビジネス上不可欠な場合に限定した」とし、「状況は変化している。当社は情報収集を続け、状況を注視している」と述べた。

クック氏は、新型コロナウイルスの発生源である武漢地区にはアップルの複数のサプライヤーがあるが、同社には代替手段があると発言。武漢地区の外の工場は旧正月連休後の2月10日まで操業再開を延期しており、アップルはこの遅れを業績見通しに反映させたという。

クック氏によると、アップルは中国で1店舗を閉鎖したほか、複数の店舗で客足の減少により営業時間を短縮。アップル製品を販売する小売業者の一部も休業に追い込まれているという。

イーマケターの主席アナリスト、ヨラム・ブルムザー氏は、アップルの第2・四半期業績見通しはアナリスト予想を上回ったが、同社がハードウエア製品の大半を生産する中国で新型ウイルスが予測不能な経路で拡大している事実は、この楽観的な見通しを狂わせる可能性があると指摘する。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

<iPhone11は「最強」、周辺機器も好調>

iPhoneの第1・四半期売上高は559億6000万ドルで、アナリスト予想の516億ドルを上回った。前年同期は520億ドルだった。

クックCEOは「iPhone11」と「iPhone11 Pro」が販売の伸びをけん引したとし、今後の見通しにもそれが反映されていると説明。「11」シリーズはこれまでのiPhone製品の中で「最強だ」と述べた。

その他の製品では、腕時計型端末「Apple Watch」やワイヤレスイヤホン「AirPods」などを含む周辺機器部門の売上高が100億ドルを記録し、予想の95億ドル、前年同期の73億ドルを上回った。

クック氏はロイターに対してAirPodsやApple Watchシリーズ3について、第1・四半期に需要に生産が追い付かなかったと説明した。

<サービス部門は予想に届かず>

サービス部門の売上高は127億ドルで、前年同期の109億ドルから上昇。ただ、アナリスト予想の130億ドルには届かなかった。

アナリストは、サービス部門の売上高が今後、同社の粗利益率を押し上げると予想している。

第1・四半期の粗利益率は38.35%。アナリスト予想は38.06%だった。