アングル:米巨大IT、バイデン政権誕生なら「牙城」崩れるか

Reuters

発行済 2020年10月10日 08:11

[ワシントン 7日 ロイター] - 米下院反トラスト小委員会が6日、米巨大IT4社の市場支配力乱用を詳述する厳しい調査報告書をまとめた。これは、11月の大統領選で民主党候補バイデン前副大統領が勝利すれば、新しいルールと規制強化が4社を待ち受けていることを示唆する。

449ページに及ぶ報告書について、反トラスト法の専門家や議会スタッフはアルファベット (O:GOOGL)傘下グーグル、アップル (O:AAPL)、アマゾン・ドット・コム (O:AMZN)、フェイスブック (O:FB)の優位性に民主党がブレーキをかける道筋を示すものだと語る。

11月3日の大統領選と連邦議会選まで1カ月弱、新しい議会開始日程は来年1月になるため、報告書の提言に基づく審議の動きは年内は考えにくく、法律改正もすぐには難しそうだ。しかし、報告書によって将来の新たな法律の見込みが高まり、各州の司法長官や連邦取引委員会(FTC)など政府機関が現在進めるIT大手への調査にも情報が加わることになる。

現在の下院は民主党に主導権があり、報告書は小委員会の民主党議員の見解を反映している。小委員会のデービッド・シシリーン委員長(ロードアイランド州選出)は7日、ロイターの取材に対し、バイデン氏がこれまで巨大ITがいかに支配力を乱用しているかを指摘してきており、「こうしたたぐいの経済的独占が民主主義を損なうことを理解している」と述べ、バイデン新政権になれば報告書を受け入れてくれるとの見方を示した。

アメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクトの責任者、サラ・ミラー氏は、調査報告書が「プラットフォーム運営業者についての民主党の立ち位置や、反トラスト法の規則にいかに改正や強化の必要があるかを示している」と述べた。「バイデン新政権が何についてなぜ措置を取らねばならないか、提言をいかに重視しなければならないかについて、道筋を詳細に定めている」とも指摘した。ミラー氏はバイデン陣営のハイテク政策部会のメンバーでもある。

ウィリアム・コバチッチFTC元委員長は、巨大IT企業が法改正などを阻止するためのロビー活動に全力を尽くすだろうと警告した。