米司法省がグーグル提訴、反トラスト法違反 約20年ぶりの大型訴訟

Reuters

発行済 2020年10月20日 23:02

更新済 2020年10月21日 08:27

[ワシントン 20日 ロイター] - 米司法省と11州は20日、米アルファベット (O:GOOGL)傘下のグーグルが市場での支配力を用いて競争を阻害しているとして、反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した。訴訟は、インターネットの代名詞となり世界の人々の日常生活で中心的な役割を担ってきたともいえるグーグルの解体につながる可能性がある。

ただ、訴訟が決着するまでには長年かかる見通しだ。

独禁法を巡る米ハイテク企業に対する訴訟としては、1998年のマイクロソフト (O:MSFT)以来の大型訴訟となる。

訴状では、グーグルがインターネット検索と検索広告市場における地位を違法に維持していると主張。「裁判所命令がなければ、グーグルは引き続き競争を阻害する戦略を駆使し、競争プロセスを阻害するほか、消費者の選択肢を狭め、イノベーションを封じ込める」とした。

さらに、グーグルが米国のネット検索シェアの約90%、モバイル検索シェアの約95%を握っていると指摘した。

バー司法長官は、グーグルが検索結果の質で競争しておらず、携帯電話メーカーなどへの支払いを通じて成功を得ていることが調査で分かったとし、「検索・検索広告市場におけるグーグルの独占に誰も対抗することはできない」と述べた。

また、司法省高官は解体などの措置を求めているのかとの質問に対し、「いかなる選択肢も排除していない」とした上で、裁判所が判断するのが最善だと述べた。

同省は訴状で、米国民はグーグルの行動で損害を受けていると指摘。「反競争的な弊害を取り除くために必要に応じた構造的な救済」を求めるとしている。反トラスト法を巡る問題で「構造的な救済」は通常、資産売却を意味する。

共和党のホーリー上院議員は「今世代で最も重要な反トラスト訴訟」と強調し、グーグルが「不正な方法」で支配力を維持していると批判した。

グーグルは「人々は強制ではなく、選んでグーグルを利用している」と主張し、提訴には「深刻な欠陥」があると反論した。

投資家は訴訟のニュースに反応薄とみられ、アルファベットの株価は1.4%高で取引を終えた。

グーグルの昨年の売上高は1620億ドルと、ハンガリーの国内総生産(GDP)を上回る規模。

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司法省と連邦取引委員会(FTC)は1年超にわたり、グーグルのほか、アマゾン・ドット・コム (O:AMZN)、アップル (O:AAPL)、フェイスブック (O:FB)のハイテク大手4企業に対し、反トラスト法調査を進めていた。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、グーグル提訴を巡りトランプ大統領や政府高官が司法省と相談していたと明らかにしたものの、トランプ大統領の関与については明確にしなかった。

しかし、米大統領選を約2週間後に控える中、今回の提訴は政治的な意図があると受け取られる可能性がある。

提訴に加わった11州の司法長官は全て共和党。

また、司法省と11州による提訴とは別に、他の7州が連携して今後数週間中にグーグルを提訴する可能性があると、ニューヨーク州司法長官が明らかにした。