[香港 8日 ロイター] - 香港経済界で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への抗議デモが地域経済に及ぼす悪影響を懸念する声が広がりつつある。
6月以降、抗議活動は強まり続けており、一部で過激化しているため、銀行やショッピングモール、飲食店などが閉鎖を迫られる事態が起きている。
複合企業スワイヤー・パシフィック (HK:0019)幹部のミッシェル・ロー氏は8日の中間決算発表文で「抗議活動はわれわれのモール、特にパシフィック・プレイス(太古広場)のモールの売上高にある程度影響を与えている。デモが続けば、売上高が打撃を受け続ける公算が大きい」と述べた。ファストファッションの佐丹奴 (HK:0709)、鉄道のMTR (HK:0066)も中間決算発表に伴って、現在の社会的な混乱が事業に響く恐れがあるとの見方を示した。
7日にはキャセイ・パシフィック航空 (HK:0293)と高級ホテル「ザ・ペニンシュラ」を運営する香港上海ホテルズ (HK:0045)も、業績にマイナスになることへの不安を表明している。
香港政府の邸騰華(エドワード・ヤウ)商務経済発展長官は8日、過去数週間で香港の観光客の落ち込みが加速しており、8月第1週は前年同期比31%減だったと明らかにした。7月半ばは1桁台の減少率だった。
また邸氏は、香港では物流業と小売業が100万人強を雇用しているので、両セクターが圧力を受け続ければ、地域の雇用が打撃を受けかねないと警鐘を鳴らした。