香港空港、デモで混乱続く 搭乗手続きを一時停止

Reuters

発行済 2019年08月14日 02:30

香港空港で警察とデモ隊が衝突、長官「奈落の底」と訴え

[香港/モリスタウン(ニュージャージー州) 13日 ロイター] - 香港国際空港で13日夕、抗議活動参加者と警察が衝突した。国連は香港政府に実力行使の抑制を要請。トランプ米大統領は香港情勢について「自由に向け」事態が進展するよう望む考えを示した。

警察と抗議運動参加者らの小競り合いは、救護隊がメーンターミナルからけが人を運び出した後に起こった。

複数の警察車両が抗議参加者に行く手を阻まれ、機動隊が突入。時折催涙スプレーを使用するなどして、参加者らを押し戻した。

デモ参加者の数は夕方になって増え続けているもようで、一部通路を荷物カートなどで封鎖した。香港空港当局によると、出発客が出国カウンターにたどり着けない状況になったという。

乗客の一部が遅れにしびれを切らし、参加者と向き合う場面も見られた。参加者らは「香港人、がんばれ」と唱えた。

国連のバチェレ人権高等弁務官は、香港政府に対しデモ参加者への行き過ぎた実力行使を抑制し、国際法に違反した取り締まりについて調査するよう求めた。

バチェレ氏は声明で「治安当局者が混雑し、閉鎖された場所で催涙ガスを使用したり、催涙弾を人に向けて撃ったりするところを複数回にわたって目撃されている。これは重大なけがを負わせたり死亡させたりする重大な危険性がある」と指摘した。

トランプ米大統領は香港情勢について「一筋縄でいかない」との認識を示した。死傷者を出すことなく、中国も含め全当事者のためになる「自由に向けた」事態打開を望む考えを記者団に示した。

空港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動が続き、13日夕、搭乗(チェックイン)業務が一時停止となった。中国当局は一部抗議活動を「テロの萌芽」だとして公然と非難しており、当局が武力弾圧に踏み切るのではないかという懸念が高まっている。

12日は抗議活動による影響で同空港発着の全便が欠航した。空港運営当局は13日、「抗議活動によって空港業務に著しい支障が生じている」とし、現地時間午後4時30分から出発便のチェックインサービスを一時停止したことを明らかにした。キャセイ・パシフィック航空 (HK:0293)も、チェックイン業務を全面中断したとし、今後欠航が発生する可能性もあると説明した。

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空港内では黒いシャツを着た数千人のデモ参加者が到着ロビーや出発ロビーを占拠し、座り込みを行った。ある参加者は「(旅行者に)迷惑をかけていることは申し訳ないと思うが、われわれは未来の香港のために戦っている。空港機能がまひすれば、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は対応せざるを得ず、これは有効な戦略だ」と話した。

行政長官はこの日、記者会見で声をかすれさせ、「香港が奈落の底に沈み粉々になっても良いのか」と述べ、デモ参加者に自制を促すとともに、抗議活動により香港が「パニックと混乱の状態」に陥っていると指摘。「自由で開かれた、非常に寛大で、経済的に安定した都市である香港は、深刻な傷を負うだろう。回復には長い時間がかかるかもしれない」と述べた。