石油タンカー運賃が高騰、米制裁の影響で約300隻利用されず

Reuters

発行済 2019年10月11日 17:51

石油タンカー運賃が高騰、米制裁の影響で約300隻利用されず

[メキシコ市/シンガポール 11日 ロイター] - 米国の対イラン、対ベネズエラ制裁の影響で、世界的にタンカー運賃が高騰している。商社や石油会社などが制裁違反を恐れ、両国の石油を運んだ実績のあるタンカーを利用しなくなったため、「使えるタンカー」が限られ、アジア向けを中心に石油タンカー運賃が跳ね上がっているという。

実質利用できないタンカーは300隻近く。業界関係者やリフィニティブのアイコンのデータによると、世界の石油タンカーの約3%に相当する。

アジアの原油トレーダーは11日、「運賃は天井知らずに上がっており、人々は輸送コストに神経をとがらせている」と述べた。

中国石油化工(シノペック) (SS:600028)傘下の石油取引会社ユニペック、スイスの資源商社トラフィギュラ[TRAFGF.UL]、ノルウェーのエクイノール (OR:EQNR)、米エクソンモービル (N:XOM)はここ1年、ベネズエラ産原油を運んだ実績を持つ250隻のタンカーの利用をやめている。

このほか米国が前月、対イラン制裁に違反してイラン産原油を運んだとして制裁を科した中国遠洋海運集団(COSCO)大連所有のタンカー43隻も使われなくなった。

COSCO大連は、世界の3%相当の大型原油タンカー(VLCC)も所有。このため、VLCC運賃はここ2週間、最高値を連日新しているという。