第3四半期のタイGDP、前期比+0.1% 1年ぶりの低い伸び

Reuters

発行済 2019年11月18日 16:23

第3四半期のタイGDP、前期比+0.1% 1年ぶりの低い伸び

[バンコク 18日 ロイター] - タイ国家経済社会開発庁(NESDB)が18日に発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は、季節調整済みで前期比0.1%増加し、マイナス成長を記録した2018年第3・四半期以来の低い伸びとなった。

米中貿易摩擦やバーツ高を背景とする輸出の低迷と国内消費の伸び鈍化が響いた。

政府は2019年通年の成長率予想を8月時点の2.7─3.2%から2.6%に引き下げた。

通年の輸出の見通しも1.2%減から2%減に下方修正した。

第3・四半期GDPの伸び率はロイター調査の0.1%と一致した。第2・四半期は0.4%増に下方改定された。

前年比では2.4%増と予想(2.6%増)を下回った。第2・四半期は2.3%増で、約5年ぶりの低い伸びだった。

カシコン銀行の資本市場調査部門責任者、コブシディ・シルパチャイ氏は「第2・四半期GDPの下方改定によって恐らく、定義上のリセッション(景気後退)へのカウントダウン開始は阻止された」と分析。

ただ、「経済の不調は刺激策の必要性を浮き彫りにしている」とした。それでもなお、金融緩和が経済の諸問題への特効薬と考えるのは「希望的観測」だとけん制した。

経済社会開発庁の高官、Wichayayuth Boonchit氏は記者会見で「第3・四半期は世界経済の問題を背景に想定よりも緩やかな景気回復となった」と説明。

バーツ高が輸出と民間投資に影響を与えたとした上で、当面はバーツ高が続くとの見通しを示した。バーツの対ドル相場は年初から7.6%上昇している。

第3・四半期の輸出は前年比横ばい。前期まで2期連続で減少していた。産業別では製造業が4.2%減となった。一方、公共投資は3.7%増えた。

民間消費の伸びは4.2%に鈍化しており、高水準の家計債務を背景とする内需の停滞もGDP成長率に悪影響を及ぼした。

タイ政府は景気浮揚のために8月に100億ドル規模の刺激策を打ち出しており、必要ならば追加策を検討すると表明している。[nL4N25C1GX]