独政府は公共投資の大幅拡大を、労使2団体が異例の共同声明

Reuters

発行済 2019年11月19日 02:01

独政府は公共投資の大幅拡大を、労使2団体が異例の共同声明

[ベルリン 18日 ロイター] - ドイツ産業連盟(BDI)とドイツ労働総同盟(DGB)が異例の共同声明を発表し、連邦予算の優先事項について考え直し、公共投資を大幅に増やすよう政府に要求した。

ドイツ連邦統計庁が14日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.1%増となり、景気後退(リセッション)を辛うじて回避した。しかし、ドイツ経済省は同日、国内経済は依然として低迷しており、回復の兆しは見られないと表明。ドイツ企業は今後数四半期、輸出の回復を予想していないと指摘した。

ゼロ成長に近い経済の低空飛行が続く中、独政府の借り入れ金利も過去最低水準にあり、メルケル首相とショルツ財務相には、従来の均衡予算の方針を撤回するよう求める圧力が内外から強まっている。

BDIのケンプ会長は「これはそもそも、リセッションの症状と闘うというよりも、低成長の根深い原因に対処するということだ」と語り、政府には長期にわたる繁栄と雇用を確保し、ビジネスの拠点としてのドイツを維持し、改善する責任があると強調した。

また独政府は均衡予算を捨てるだけではなく、既存の枠組みにとらわれずに物事を考え、憲法で定められた「債務ブレーキ」という規定の変更を検討すべきとし、「ドイツは睡眠状態から目覚めなければならない」と呼び掛けた。

さらに政府に対し、デジタルおよび交通インフラへの公共投資をGDPの0.5%ポイントに当たる約170億ユーロ分増やすべきだと訴えた。

DGBのホフマン議長は、長期的な公共投資プログラムが、ドイツの成長モデルとともに高賃金の雇用を持続可能にする唯一の方法だと主張。「旧態依然のインフラと資金不足の教育システムにより、次世代の繁栄を危険にさらす余裕はもうない」とし、公共投資の拡大が社会的結合の強化とドイツ全体の平等な生活環境の促進につながるとした。