サウジ裁判所、カショギ氏殺害で5人に死刑判決 元側近は釈放

Reuters

発行済 2019年12月24日 09:52

サウジ裁判所、カショギ氏殺害で5人に死刑判決 元側近は釈放

[リヤド/ワシントン 23日 ロイター] - サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が昨年10月にトルコのイスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、サウジ刑事裁判所は、公判にかけられた11人のうち5人に死刑判決、3人に禁固刑を言い渡した。検察当局が23日発表した。名前などは明らかにしていない。

カショギ氏はサウジ政府に批判的だった。同氏の殺害に国際的に批判の声があがったが、サウジ政府は関与を否定していた。

検察によると、事件の捜査で21人を逮捕し、10人を聴取したという。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の元側近で、カショギ氏殺害に関わったとされるアハマド・アシリ元情報機関高官は起訴されたものの、証拠不十分で釈放。同じく元側近のサウド・カハタニ元王室顧問は調査を受けたが不起訴となった。

今回の判決に対しては上告が可能。

トランプ政権のある高官は判決について「重要な第一歩となる」とコメントした。トランプ政権に対しては、カショギ氏殺害でサウジへの姿勢が寛大過ぎるとの批判もある。また、別の米高官は、今後も責任追及を続けると強調した。

米情報機関の関係者によると、複数の米政府機関は公判の信頼性に疑問を抱いており、米中央情報局(CIA)の専門家は、ムハンマド皇太子が殺害を指示したか、または、少なくとも殺害を承認したと依然考えている。

この関係者によると、死刑判決を言い渡された5人は現場レベルの当局者で、捜査を受けたが罪がみとめられなかった側近2人は殺害事件でより重要な役割を果たしたという。

事件の国際調査を担当した国連のカラマール特別報告者はツイッターへの投稿で、判決は見せかけの正義だとコメント。「実行犯は有罪となり死刑が言い渡されたが、背後で操っていた者は釈放されただけでなく、捜査や裁判にほとんど関わらずに済んでいる」と批判した。