豪小売売上高、11月は予想上回る0.9%増 12月は厳しい数字に

Reuters

発行済 2020年01月10日 12:18

豪小売売上高、11月は予想上回る0.9%増 12月は厳しい数字に

[シドニー 10日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した11月の小売売上高は前月比0.9%増加し、エコノミスト予想の0.4%増を上回った。2019年2月以来の大幅な増加となった。

年末商戦の幕開けとされる感謝祭翌日の「ブラックフライデー」が押し上げ要因。

11月は衣料品、家庭用品、百貨店やレストランの売上高が軒並み増加した。

NABのエコノミストは「売上高のトレンドは悪化傾向にあり、11月の大幅な伸びはブラックフライデー/サイバーマンデーの人気が高まっていることを反映している側面もある」と指摘。「予想を上回る売上高はクリスマス消費の前倒しと、クリスマスセールがかつてほど重要ではなくなっていることを意味している可能性がある」との見方を示した。

一般的な景気後退の定義とされる「2四半期連続のマイナス成長」を28年間以上にわたって経験していなかったオーストラリア経済だが、最近では上がらない賃金や高水準の債務に苦しむ消費者が急激に支出を減らしていることを背景に、軟調な局面を迎えている。

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は昨年3回の利下げを実施し、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを0.75%まで引き下げたが、消費を刺激するには至っていない。政府による税金の還付も、消費ではなく貯蓄に回ったもようだ。

経済の不振は、幅広い層への税還付や雇用創出などの経済政策を公約に掲げて昨年5月の総選挙で勝利したモリソン首相にとっても頭痛の種だ。