米、EUの報復関税「正当な根拠ない」 補助金巡りWTOに主張

Reuters

発行済 2020年05月07日 08:28

[ワシントン 6日 ロイター] - 米国は6日、世界貿易機関(WTO)への提出文書で、米航空機大手ボーイング (N:BA)に対するワシントン州の優遇税制措置が違法とする同機関の判断に従い、この措置が廃止されたため、欧州連合(EU)が報復関税を課す「正当な根拠はない」と主張した。

米通商代表部(USTR)は同文書について、ボーイングと欧州の同業エアバス (PA:AIR)の補助金を巡る対立に関連し、EUが求めている年間約100億ドルの報復関税措置の発動を無効にすることが狙いだと説明した。

米国とEUは、2004年から両社の補助金の違法性を巡り争い、それぞれWTOに提訴していた。WTOは既に両社に対する巨額の補助金は違法だと判断しており、昨年、米国に対し航空機やワイン、チーズなどの欧州製品75億ドル相当に報復関税を課すことを承認。EUの対米報復関税についても6月に認める見通しとなっている。

USTRは3月17日にエアバスの航空機への関税を10%から15%に引き上げたが、新型コロナウイルスの感染拡大で旅行需要が激減する中、多くの航空会社は納入を延期している。

ワシントン州議会は3月、16年前からボーイングやその他航空機関連企業に適用していた優遇税制措置を撤廃した。

USTRのライトハイザー代表は声明で「ワシントン州がこの比較的小規模な優遇税制措置を廃止したことで、米国はWTOの提言を完全に実行しており、この係争は決着する」とし、「これは、EUがいかなる米国製品に対しても報復関税を課す正当な根拠がないことを示す」と主張した。