トランプ氏、下院の議席配分で不法移民除外を命令 民主は批判

Reuters

発行済 2020年07月22日 06:07

更新済 2020年07月22日 12:45

[ワシントン/ニューヨーク/ロサンゼルス 21日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、2020年国勢調査に基づき下院の議席配分と選挙区割りを行う際、不法移民の人口を除外するよう命じる覚書に署名した。多くが非白人の移民の排除によって白人に偏った区割りが行われ、共和党に有利に働く可能性があるが、専門家らは法的に問題があると指摘する。

知事が民主党のニューヨークなどの州や人権団体は即座に、訴訟を起こす構えを示した。

下院議席の再配分と再区割りは21年に予定されている。実際に不法移民が除外された場合、カリフォルニアやニューヨークなど、移民を多く抱え、民主党が強いリベラルな州は議席が減る可能性がある。

覚書では「議席数の割り当てで、不法滞在する外国人を州の人口に含めると、他の方法より2─3議席多くなる可能性がある」とした。

下院の定数は435議席で、過去の議席配分は全人口に基づき行われた。

民主党のペロシ下院議長は声明で、今回の措置は「非合法的」で、「立場が弱く、かねてから統計で過少報告されていたコミュニティーの不安と不信感を再び招き、国勢調査に混乱を生じさせる」ものだと批判した。

合衆国憲法には、区割りは10年ごとに実施される国勢調査で集計された各州の「全人口(the whole number of persons)」に基づいて行われるべきと明記されており、複数の連邦法でもこの解釈が補強されている。

トランプ氏は覚書の中で、条文中の「人(persons)」には州内に存在する全個人が含まれるとは解釈されないと主張した。

これに対し、ジョージタウン大学のジョシュア・ゲルツァー教授は、議席の割り当てには全員が含まれる必要があり、最高裁の判例でも確認されていると指摘した。