レイセオンとロッキードが日本で再び火花、陸上イージス代替巡り

Reuters

発行済 2020年07月30日 18:15

Tim Kelly

[東京 30日 ロイター] - 日本政府が陸上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの配備手続きを停止したことを受け、米軍事大手レイセオン (N:RTN)が代替案の売り込みに動いている。同社は2年前、イージス・アショア用レーダーの選定で米ロッキード・マーチン (N:LMT)に敗れており、複数の関係者によると、防衛政策に影響力のある日本の議員らに働きかけを強めている。

レイセオンは、海上自衛隊のイージス艦「あたご」を改修し、最新型レーダー「SPY6」を搭載することを提案。これなら2025年までに配備可能だという。その後にSPY6を搭載したイージス艦を新造することを提案している。

米海軍はすでに同様の改修を進めており、コストを抑え、配備する時間も短縮できるとしている。レイセオンの営業活動を直接知る関係者は、「ゲームは進行中だ」と語った。

日本は2017年にイージス・アショアを国内2カ所に配備することを決定。飛来してくるミサイルを補足するレーダーに、ロッキードの「SPY7」を採用した。しかし6月、発射した迎撃ミサイルのブースターを安全な場所に落下させられないとして、河野太郎防衛相がシステム全体の配備手続き停止を発表した。

ロッキードはこれを受け、レーダーを分離し、地上の他の場所や艦艇に配備することなどを日本側に提案している。しかし、既存の艦艇を利用すれば他の任務が手薄になる、新たに建造するには費用がかかる、といった批判がある。

与党・自民党は、イージス・アショア配備手続き停止後の選択肢を検討。31日に党国防部会の了承を得て、来週にも政府に提言する。レイセオンとロッキードにとっては、議論をリードする防衛相経験者らの支持を得ることが重要性を増している。