米石油ガス輸出、ハリケーンで大きな影響 施設再開へ被害調査

Reuters

発行済 2020年08月28日 08:08

更新済 2020年08月28日 13:45

[ヒューストン/ニューヨーク/シンガポール 28日 ロイター] - 米メキシコ湾の油田地帯を襲ったハリケーン「ローラ」がルイジアナ州に上陸し、内陸に進んだのを受け、米国の石油・ガス輸出に大きな影響が出ている。港湾の閉鎖などで原油輸出は今週、日量100万バレル近く減少する可能性が高い。

液化天然ガス(LNG)施設も複数が操業を一時停止しており、リフィニティブのデータによると、出荷量は1年半ぶり低水準の日量21億立方フィートに落ち込む見通しだ。

ローラは27日未明にルイジアナ州に上陸、複数の建物が倒壊し、ルイジアナとテキサス州で65万人以上が停電に見舞われる被害が出た。ただ、被害は当初の予想よりはるかに小さく、製油所は大規模な浸水を免れた。ローラは27日午後になって熱帯低気圧に変わった。

米沿岸警備隊によると、ルイジアナ州レークチャールズ、テキサス州のボーモント、ポートアーサーの各港は27日時点で閉鎖が続いている。

日量約60万バレルを出荷する米原油輸出ハブのヒューストン港は26日に閉鎖したが、27日遅くに再開する見通し。

データ会社Kplerが過去4カ月間の平均を基に試算したところによると、ヒューストン、ボーモント、ポートアーサー各港の閉鎖により、原油の海上輸出能力は日量100万バレル近く押し下げられる。

米エネルギー情報局(EIA)の統計では、過去4週間の米原油輸出は平均で日量約290万バレルだった。

Kplerは、上記3港の閉鎖で石油精製品の輸出も日量約83万バレル押し下げられると試算する。

このほか、米最大の民間原油輸出ターミナル、ルイジアナ・オフショア・オイル・ポート(LOOP)も、ハリケーン接近に備えて23日に洋上ターミナルの操業を停止している。

リフィニティブ・アイコンの海運データによると、27日にテキサス州コーパスクリスティに避難していた石油タンカーは28日、メキシコ湾岸の主要積出港に向けて航行している。

Kplerによると、LNGタンカー2隻は現在、船積みのため、港付近に停泊中。他の複数のタンカーは、今もカリブ海地域に位置している。

輸出にどの程度の混乱が生じるかは、生産・輸出施設への被害状況にかかっている。エネルギー各社は沖合の石油生産施設などへの被害状況を調査している。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

メキシコ湾沖の300以上の石油生産施設や掘削リグでは先週、従業員が避難しており、運営会社は空からの被害状況調査を予定している。

米内務省によると、メキシコ湾の石油生産の約84%に相当する日量156万バレル相当の生産と天然ガス生産の60%が停止されたままだ。

シェブロン (N:CVX)はオフショア油田で従業員の現場復帰を開始し、生産を再開しつつある。ノルウェーのエクイノール (OL:EQNR)は今週末、空からの石油生産施設の被害調査を予定しており、英BP (L:BP)は従業員の現場復帰に向け準備を進めている。