米最高裁人事の公聴会、大統領自身の恩赦は「議論の余地」=バレット氏

Reuters

発行済 2020年10月15日 10:00

[ワシントン 14日 ロイター] - 米上院司法委員会で14日、トランプ大統領が連邦最高裁判所判事に指名したエイミー・バレット氏の3日目の公聴会が開かれ、約8時間にわたり質疑応答が行われた。

バレット氏は、トランプ大統領がかつて言及した、大統領による自身の恩赦権については「議論の余地がある」と発言。最高裁は大統領が最高裁の決定に従うかどうか「コントロールできない」とも述べた。

また、11月10日に最高裁で予定されている医療保険制度改革法(オバマケア)の存続をめぐる審理には「偏見のない心」で臨むと約束。すでにオバマケア廃止を心に決めているのではないかとする民主党の懸念を和らげようと努めた。

トランプ氏は共和党が過半数を握る上院で、大統領選前にバレット氏を承認するよう求めている。また、選挙結果は法廷闘争に持ち込まれ、最高裁の判断を仰ぐことになるとの見方も示している。

<大統領自身の恩赦権>

民主党議員はこの日の公聴会で、大統領が罪を犯した自らを恩赦できるかどうかを質問。バレット氏は「この件が訴訟で争われたことはない」とした上で「この問題が生じるかどうかどうかも分からないが、恩赦権の範囲について法的な分析が必要な問題だ。この件に関しては、判断するための司法手続きを経ていない議論の余地のある問題について意見を述べることになるため、見解を示すことはできない」と述べた。

トランプ氏は先に、自らを恩赦する絶対的権力を持っていると発言。大統領権限で友人らに恩赦を与えてきた。

バレット氏は、裁判所の命令に従わない大統領は、三権分立の下で均衡と抑制を図る米国の立憲制度に対する脅威かどうかとの質問への直接の回答を避け、「法の適用を受けない者はいない」と述べた。

「最高裁は大統領が(命令に)従うかどうかをコントロールできない」とし、最高裁の判断は「法的拘束力」を持つが、最高裁にその執行権はないと説明した。

バレット氏はまた、トランプ氏が大統領就任後も自身の事業に関わり続け、大統領が外国政府などから議会の承認なしに報酬を受けることを禁じた憲法に違反しているとの指摘がある問題については議論を避けた。

<オバマケア>

民主党は、バレット氏がオバマケアの一部でも違法とみなせば、最高裁の審理でオバマケアの撤廃に票を投じると懸念している。

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バレット氏は公聴会で、制定法を残せる場合は残すのが判事の責務だとし、オバマケアを巡るいかなる案件にも「偏見のない心」で臨むと述べた。

バレット氏は過去に、オバマケアを支持した最高裁判決を批判している。

民主党副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員は、国民は11月の大統領選の勝者が空席となっている最高裁判事を指名することを望んでおり、バレット氏の指名承認手続きは「正当性を欠く」と批判。