米、EUにエアバスの補助金払い戻し提案 航空機補助金紛争で

Reuters

発行済 2020年10月16日 01:30

更新済 2020年10月16日 02:36

[パリ/ワシントン/ブリュッセル 15日 ロイター] - 米国は航空機メーカーへの補助金を巡る米国と欧州連合(EU)の紛争で、航空機大手のエアバス (PA:AIR)が欧州各国政府に何十億ドルもの補助金を払い戻せば、ワインやウイスキー、その他の製品に対する関税を撤廃すると提案した。複数の関係筋がロイターに話した。

世界貿易機関(WTO)は13日、米ボーイングへの補助金が不当だとして、EUが米国に報復関税を課すことを認めると発表。米国の新たな提案は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表がその数日前にEUへ提示していた。

ただ、ライトハイザー代表の提案はEUの支持を得られない可能性が高い。EUは、WTOの10月26日の会合で40億ドル規模の米国製品に対する報復関税の承認を求める見込みだ。エアバスへの補助金を巡り米国は75億ドル規模の欧州製品に関税を課しており、欧州側に影響が出始めている。

トランプ米大統領は、EUが米製品に関税を課せば「より強硬に反撃する」と表明。その上で「EU側はそれを望んでいないはずだ」と述べた。

WTOは、エアバスが欧州各国から低金利融資という形で不当に補助を受けていると裁定。一方、ボーイングは米政府から税控除という形で不当な支援を受けていると判断した。エアバスとボーイングはともに、過去の問題点を是正しWTO規則に従っていると説明している。

関係筋2人によると、米国の提案では、エアバスの開発計画を支援する過去の融資に関する金利は、最低で半分の計画しか成功しないことを想定した金利に再設定される。想定するリスクは、エアバスと関係が深いフランス、ドイツ、英国、スペインが従来、金利を設定する際に想定してきたリスクよりも高く、投機的投資を反映する水準となる。