英EU通商交渉、合意なしの確率のほうが高い─欧州委員長=当局者

Reuters

発行済 2020年12月11日 18:15

更新済 2020年12月11日 20:00

[ブリュッセル 11日 ロイター] - 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は11日、英国とEUの通商交渉について、合意が成立しない可能性のほうが高いとの認識を欧州連合(EU)首脳会議で示した。

当局者が匿名を条件に明らかにした。

同委員長は、2日目のEU首脳会議の冒頭、英国のEU離脱問題について10分弱演説。

同当局者によると、同委員長は「状況は厳しい。大きな障害が残っている」とし「合意が成立しない確率は合意が成立する確率よりも高い。合意が可能かどうかは13日までに分かる」と述べた。

英国のジョンソン首相も10日、EUとの通商交渉で合意できない可能性が高いとの考えを示した。

ジョンソン首相とフォンデアライエン欧州委員長は9日、双方には依然として「極めて大きな溝」があるとの認識で一致。「確固とした決定」を13日まで持ち越すことで合意した。

市場は合意なき離脱のリスクを織り込み始めており、ポンドと株価が下落。インプライド・ボラティリティーは上昇している。ポンドは対ドルで一時0.8%安の1ポンド=1.3190ドルに下落。その後はやや戻している。

合意なき離脱となれば、欧州北部の経済が打撃を受け、金融市場に衝撃が走るとみられている。国境で混乱が起き、サプライチェーンに悪影響が出ることも予想される。

大手投資銀行の大半は、依然として合意成立が基本シナリオだと分析しているが、一部の投資家はEU離脱の是非を問う2016年の国民投票で予想に反して離脱が決まったことを思い起こしている。

EUの一部の外交関係者は、ジョンソン首相の発言について、譲歩を引き出すための駆け引きとみているが、複数の英当局者はEUの要求を受け入れることはできないと主張している。

英国のダウデン文化相はスカイ・ニュースに、合意成立の可能性は残されているが、英国の指導者がEU側の要求をのむことはないと述べた。