米タクシー業界にカナダ帰国者の「特需」、空路の厳格隔離回避で

Reuters

発行済 2021年04月26日 13:59

[25日 ロイター] - 米国のタクシー・リムジン業界が、陸路で帰国しようとするカナダ人の「特需」に沸いている。飛行機で帰国した場合に適用される新型コロナウイルス対策の厳しい隔離措置を避けようと、利用客が急増している。

カナダ人が陸路でも空路でも出発までの3日間以内にウイルス検査を受け、帰国後も再び検査を義務付けられる点は変わらない。海外からの入国後も14日間の自主隔離が求められる。

しかし、陸路の場合は自主隔離する場所は当人が選べる。飛行機を使った場合は最長で3日間ホテルに缶詰になる必要があり、その間のウイルス検査で陽性になれば、さらに政府が定めた専用施設に移ることになる。

ロイターが取材したリムジンやタクシーの会社4社によると、このため、米国から帰国する際にいったんニューヨーク州など国境沿いの州の空港に国内線で移動した後、陸路で国境を越えようとする客が米国のタクシーやリムジンに殺到している。

国境に近いニューヨーク州北西部バッファローに拠点を置く716リムジンのゼネラルマネジャー、ジョン・アーネット氏は「朝6時から深夜0時まで電話が鳴りっぱなしだ。国境越えの要請が非常に多く、依頼を断っているほどだ」と述べた。同社は今や米国人相手よりも、隣接するカナダ・オンタリオ州の家にカナダ人を送り届ける仕事の割合が多くなった。

カナダの旅行保険ブローカー、マーティン・ファイアストン氏によると、国境越えのタクシー料金は約200米ドルないし250米ドル。ホテルに3日間缶詰にされた場合の自腹費用は1200カナダドル(約960米ドル)以上かかる。同氏によると、フロリダで冬を過ごし帰国するカナダ人が、国境越えのため乗車してくる例があるという。

米国とカナダの国境はパンデミックのため、過去1年余りのほとんどで閉鎖され、観光業全体も落ち込んでいただけに、こうした最近の商売急増は米国側の困窮する一部タクシー・リムジン業界に救いになっている。

バッファロー・リムジンズのゼネラルマネジャー、ニック・ボッキオ氏は、カナダの利用客のおかげで運転手たちを呼び戻して再雇用することができたと明かす。同氏によると、23日にはフロリダからの到着便1便だけで、9人のカナダ人の利用客が別々に乗車してきたという。

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運転手たちによると、利用客はカナダの自宅まで乗っていく場合のほか、国境まで米国のタクシーやリムジンを使い、歩いて入国した後、カナダ国内で別のタクシーないしリムジンに乗るケースもある。